Sexing from crown diameters in the permanent dentition by discriminant function analysis. An assessment in the Yami tribe, Taiwan aborigine.

台湾先住民ヤミ族の上・下顎の中切歯から第1大臼歯までの歯冠近遠心径と頬舌径の性差を明らかにし, これらの計測値をもとに性別判定のための判別関数を算出した。これらの判別関数を性別判定に実際に適用してみると, 近遠心径12項目による的中率は67.65%, 頬舌径12項目ではやや高い73.53%を示し, これらを組み合わせた近遠心径・頬舌径24項目ではさらに高率の85.29%を示した。近遠心径と頬舌径を組み合わせることにより, 85%以上という頭蓋骨による判別に匹敵するほどのかなり高い的中率を得ることができたことは, 四肢骨や頭蓋骨に比べて概して的中率が低いと思われている歯による性別判定に対する考えを改めさせ, 歯を用いることの有用性をさらに高める結果となった。また, 実際の判別に際して, 近遠心径と頬舌径のどちらかしか使用できない場合は, 近遠心径より隣接面磨耗による影響を受けず, 加えて判別的中率の高い頬舌径を選択すべきであることが示唆された。